2012年3月5日月曜日

ページをくるにつれて



「fil」は「糸」というフランスのことば。
細くのびた長い糸は、ふたつのものをしっかり、また時にはゆるやかに結びつける。
何かと何かの間をつなぐもの。
あるものとあるものが出会うと、そこに生まれた関係から密やかな物語が立ち上がってくるようだ。
日本語の「糸」も、フランス語の「fil」も、「流れ」や「筋」という意味を含んでいるのもうなずける。

白いページには折々に興味をひかれたあれこれを書きつけたり、イメージを貼り付けたりしよう。
時にはこれまでにわたしが出会ってきたひと達やものごと、訪れた場所の記憶をスケッチしてみよう。
ページからページを旅するように。

雑多な記録たちはページをくるごとに一本の糸で結びつけられ連なりあって、ひとつの軌跡を描くだろう。
そうしていつしか何ごとかを語りはじめるのかもしれない。

それは、駅から駅へとを繋いでいく鉄道の旅のような、あるいは綴じ合わされた一冊の本のような姿をしているのだろうか。